たばこの中に含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり、人の体は血管を通じて様々な栄養を身体中に運んでいるため、喫煙行為は、その栄養を運搬する効率を低下させるだけでなく、ひどい場合は血流が遮断し、それを動脈硬化といいます。そのような影響を及ぼすたばこなので、当然、頭皮や髪にいいはずがないのです。
そして、健康な毛髪が生え育つためには、きちんとした栄養を行き届かせる必要があります。髪は勝手に生えてくるのではなく、血管から運ばれた栄養によって頭皮が健康になり、気が生えてくるという流れなので、頭皮が栄養不足となれば毛も細くやせ細ってしまい、毛根に栄養が届かない状態は正規の毛髪サイクルを狂わせ、薄毛となってしまう悪循環に陥ってしまいます。
そんなたばこと血行の関係を象徴するようなアイテムが売れ筋系の毛髪促進のアイテムですが、その働きの目的は血管拡張や血行促進、そして薄毛に悩む人がよくポンポンと頭皮を叩いていますが、あれも血行促進を期待しての行動とみなされます。
では、実際に喫煙の行為が薄毛につながる原因の詳細や事例ですが、まずたばこ1本を吸った際に血行不良となる時間の目安は2時間前後ですが、2時間吸わない時間があるとイライラしてくるのが愛煙家であるため、1日のほとんどの時間が血行不良となります。
また血行不良以外にもたばこが薄毛の原因となるものが男性ホルモンの増加で、この男性ホルモンに全く関心のない女性は、「男性ホルモンが増えるなら逆に毛深くなるのでは?」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、たばこを吸うことによって増加するジヒドロテストステロン(DHT)は、協力な脱毛作用をもっており、その「DHT」が、非喫煙者よりも喫煙者の方が13%高いことが、米国の調査で立証されています。
そして、さらに薄毛の原因となる着目点がビタミンCの欠如についてですが、たばこを吸うとビタミンCを大量に失うので、これも薄毛に影響を及ぼし、たばこ1本につき約25mgも消費されてしまいますが、実はビタミンCには毛母細胞を守る働きがあるので、ビタミンCも大切にしたい栄養素ですが、食事やサプリメントからビタミンCを摂取しても、頭皮まで行き届くのはたったの1%とわずかなため、喫煙者の体の中ではビタミンCは常に失われていっている状態なので、髪にいいはずがないのです。
ようは、薄毛に悩むなら高級な育毛材を入手する前に、禁煙をすることが推奨されますが、ただ、懸念されるのが、禁煙によるストレスです。たばこは中毒性のあるものなので、自分の意志だけでは止められない状態の人もおり、禁煙をすると、身体の中から吸いたいという欲望にかられるため、それを我慢するという時間はかなりのストレスになり、相性の悪いことに、禁煙をすると今度はストレスが原因で薄毛になる可能性も懸念され、それはストレスが質の良い睡眠を妨害してしまうことが原因と考えられています。よくお肌は“眠っている間につくられる”というコピーを目にしますが、それは髪にとっても同じで、正常な副交感神経が作用しない睡眠不足状態では髪にいいはずがなく、実際、心に無理を抱えて押し通して禁煙を続けて薄毛になってしまったというケースも見受けられます。
ストレスを抱え込むことなく、無理なく禁煙が出来ればベストですが、お医者さんに「禁煙外来」があるように、多くの愛煙家にとって、禁煙はただの習慣改善で達成できるものではないのです。よって、薄毛に悩みつつも喫煙習慣を自力で脱出できない人は、医師から処方された薬やパッチなどを使ってみたり、禁煙による禁断症状が軽くなってきたら禁煙ガムにシフトしたり、さらに自信がつけば、音楽鑑賞や歯磨き、シャワーにアロマといったリラックスで、自分を癒しながらコントロールしていくと、ストレスがかかりにくく禁煙を目指せ、しかも頭皮・発毛にも喜ばしい結論に近付けます。